創造的な生活を送るためには、「十分なひま」が必要だ。規律正しい生活をしていると、人はなかなか「自己の内なる創造性」を発揮することができない。創造性を発揮するためには、「十分なひま」がいる。そしてこうした自由時間へのニーズから、人々はますま…
改革審が、今までの日本にはなかった「国民が司法に参加する制度」、後に説明する「裁判員制度」構想を打ち出したことから、一応そうした制度の導入に向けて現実の政治は動きつつあります。その意味で、とにかく、これらの動きは評価すべきで、チャンスでし…
標準報酬制を採用しているのは、健康保険と厚生年金です。加入している人の賃金は千差万別です。個人個人について保険料を計算することはとても複雑で手間がかかります。そこで仮定的な報酬額のランク(等級)を決めます。これに個々人の報酬額をあてはめて…
私は当初家内から話を聞いたとき、これは母親のまったくのカン違いで、直接対決すれば母親はすぐ間違いを認めるだろうと簡単に考えていた。そして妹たちも、すぐ謝罪すると思っていた。そこが肉親の情というものかもしれないが甘すぎた。相手は私が考えた以…
「天皇現人神」というバカげた「妄想」からなる国家神道は、今日に至るも深刻な後遺症をわが国に残している。さすがに、天皇崇拝者はほとんどいなくなったが、日本人のマインド・コントロールされやすさと妄想に対する抵抗力のなさ、という形でその後遺症が…
マルコスも二大政党のもとで戦われた一九六五年の総選挙で大統領に選出された。一九六九年の総選挙でも、マルコスはフィリピンの選挙につきものの「カネとネポティズム」にまみれながらも、ともかくも民主的手続きをもって大統領に再選された。アメリカン・…
これまで、日本の予算過程にみられる特徴と問題点をみてきた。予算の編成や実行の細部に入り込むほど、手続きの複雑さの陰で既得利益を追求する官僚制や政治家の姿が明らかになり、うんざりさせられる。予算の構造はあまりにも巨大であり、それがいかに負債…
年金の財源は、すでにみたように保険料に国庫負担が加わったものである。この財源から給付費を支出するわけであるが、年金制度は永い将来にわたって支給をつづけなければならない。この給付費のために、将来を考慮して財政運営がはかられていく。そこでどの…
18世紀に産業革命が始まってからヨーロッパは世界のトップとして君臨し、20世紀もアメリカと並んで世界をリードしてきた。しかし、とうとうヨーロッパの時代が終わりに近づいたということである。私は中長期的に見てヨーロッパの状況はアメリカよりも一段と…
それはギリシャの借金がそれほど大きくないためだ。ギリシャがデフォルトすると、ドイツとフランスを中心とする銀行が泣くことになるが、先ほども書いたように、たとえ銀行が厳しい状況になったとしても、ドイツやフランスの政府には銀行を支援するだけの十…
ばかの労組でのように、ガンバローと叫ばないのが、日産労組たるゆえんである。八二年の記念総会で特筆すべきことは、塩路会長が、「文化論」を開陳したことである。「労働運動は文化を創造している。そして労使関係もまた文化の創造だと思うのであります」…
一部の県出身国会議員をけじめ、政府関係者の協力を得て、あらゆる努力をした結果、翌九五年の五月、ついに議員立法によって「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」を成立させることができた。この法律によって、それまで三ヵ月程度…
これらのことから、これからは、地域の住民は、自分の老化に対応した施設を選んで、より快適な生活を送ることができるようになる(在宅も含めて)。これによって、ひとつは市町村間の差が歴然となる。すでに一部では住民票を施設が整備されている市町村に移…
当局は九二年四月の時点で、二つの重大な判断ミスを犯してしまった。第一のミスは景気に関してである。日本経済は後退局面に転じて一年間以上も経過しているにもかかわらず、どこに不況があるのかといわんばかりのスタンスを取り続けた。これでは、効果的な…
一九七三年から八二年まで、第三次国連海洋法会議が開かれた。地中海の小島国家マルタ代表のパルト大使が六七年秋の国連総会でマンガン団塊など深海底の海洋資源の平和的な共同利用の必要を説いたのが、開催のきっかけとなった。会議の準備段階から、公海に…
石油問題の理解にはふたつの要素を考えておく必要がある。第一は、米国の石油自国生産・輸入および代替エネルギー生産の分水嶺はバレルニ○ドル見当であること。つまり暴騰せぬ限り、米国景況にはプラス面は多いが、輸入インフレなり景気頭打ちの要素ともなり…
はっきりしているのは、首相の考える「国際社会における名誉ある地位」とは、「テロとの終わりなき戦い」にこぶしを振りあげるブッシュ政権に軍事的支援を行うということである。爆撃の的にされたひとびと、テロとはなんの関係のないアフガニスタンに住む非…
少なくとも、証拠を出し惜しみする被告に対して裁判官は、「好ましくはないけれども、仕方がないな」と思うだけ、それだけです。証拠を積極的に出さないからといって、それだけを理由に敗訴させてしまうほど感情的ではないことを、裁判官は自ら誇りに思って…
生産現場だけでなく事務部門にまで及びはじめたマイクロエレクトロニクス技術革新が雇用機会を奪うのではないか、日本企業の海外への進出による「空洞化」が、国内の雇用情勢を深刻化するのではないかといった点も大いに心配された。労働組合が、賃上げより…
〈僕には、例え中枢が消滅しても、なお局部局部、個人個人が最も頑強に抵抗するのは、新鋭溌刺としたアメリカ人のように思われる。各人がそれぞれの自覚と自信を胸中に抱いていて、最も屈服させ難いように考える。これは単なる知識の意味ではない。学校も家…
テレビのゲームショーやビデオゲーム、それにインターネット喫茶もある、この”ダミングーダウン”の時代にあって、なぜ多くのイギリス人や観光客が、このようなフェスティバルに行くのだろうか。一つの答えは、このような時代そのものに対する反動ではないか…
日本では時価会計制を導人したことによって、企業が不正会計の隠蔽工作や否認を行う機会を減らすことができた。というのは、会計上の公表の遅滞や否認が、景気悪化の問題をますます深刻化させ、結局日本は、銀行救済や不良債権の最終処理のために、GDP(…
一般に、金融の緩和状態が維持されるためには、通貨供給すなわちマネー・サプライは、スムーズに増大する必要がある。しかしケインズ以前には「金本位制」の考え方が根強く、通貨の供給は、少なくとも基本的には金(きん)の裏付けがなければならないとされ…
弔辞というものを詠んだことがない。追悼文というものも、なるべく書かないで来た。親しい人に先立たれたとき、私の本心は、通夜や葬式にも出たくない。誰の眼も届かない場所に、独りだけでひっそりといて、死者と話し合っていたい。だが、通夜にも葬式にも…
精密モデルの第三の型はマッカーシー研究のように、テスト要因の導人によって、もとの二つの変数の関係が、やはり消滅する型である。しかしこの場合は説明型とは異なり、テスト要因が図のように、独立変数と従属変数との中間に入っている。テスト要囚が、独…
信託関係は初めは個人の間の約束であり、また封建制度の下でいろいろの制限を逃れるためのものでした。このため信託の約束をしても、それは約束した同士の取り決めにすぎず、一般の法律で認められた制度ではありませんでした。ところが当時のイギリスには、…
M市長は医師で、元厚生省の局長も務めたことがある人だ。自分も若いときには保健所に勤務していた。いわば、保健所のことは委員のなかで非常によくわかっている1人である。そのMさんがこういうのは、はっきりいって、Mさんの市にある保健所はとても合格点を…
ここでぜひとも考えたいのは、かりに「脅し」がなくとも、人間とくに「ヒラの人たち」にきちんとした行動をさせ、それを通じて企業内に、さらには広く社会に、「規律」ないし「レベル」を維持する方法はないものだろうか、という点である。そういう状況が実…
たとえば、二〇〇六年のコー月に利上げせず、翌○七年一月に利上げする合理的な理由は何も見当たりませんでしたが、関係者の情報が入り乱れて、一月に入ってから「利上げ機運」があったといいます。マーケットは噂に翻弄されたわけです。日銀、政府・自民党、…
フランスのパリ商工会議所が作ってフランス企業に配布している資料「インド人とビジネスする際の注意点」は、ビジネスを進める上において、外国人がインド人をどのように見ているかがわかって興味深い。「インド人は期限の重要性を認識しているが実行が伴わ…